誓いのキスを何度でも
朝方、目覚めるとちゃんとパジャマを着て、誠太郎の隣で眠っていた。

まあ、いつものパターン。

リビングで使った布団は寝室にたたまれ、誠一は誠太郎と同じ布団で気持ち良さげに眠っている。

私は少し安心し、誠太郎の髪と、誠一の髪を撫でてから、布団から起き出して、シャワーを浴びる。

毎回、キスマークを増やすのはやめて欲しいとボンヤリ思いながら、まだ誠一の愛撫を覚えている気怠い身体をゆっくり洗い、少しだけため息を吐く。

誠一は私と誠太郎を愛している。

もちろん私もだ。

でも、誠太郎の家での問題は解決する気配がなさそうだ。

誠一は今はアルバイトで仕事をしているので、
責任ある仕事は任されていない。

外来や当直はするけれど、患者さんの主治医はせず、オペも補助の立場だろう。
リュウ先生にも、もったいないから早くキチンと勤めろ。と何度も言われている様子だ。

私は朝食の用意をし、
誠一と誠太郎を一緒に起こす。

ふたりはお互いを起こすのにくすぐり合って笑い合い、
からだをぶつけながら洗面所に向かって歩いていく。

誠太郎は嬉しそうな顔をしている。

自分にも「お父さん」と呼べる存在が出来て、嬉しいのだろうか…

まあ、まだ、「サクちゃん」と呼んでいるけど…

誠太郎が「お父さん」と、自然に呼べる日が来るといい。

誠一が本当の父親だと言うのは
それからでいい気がしている。

誠太郎が誠一の子どもである事は見ればわかるヒトもいるだろうけど、
もう少し、大きくなって、オトナの事情がわかるようになってからのほうがいいのかも知れない…





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