誓いのキスを何度でも
「迎えに来ました。柏木です。」と学童保育をしている施設に声をかけると、

「遅いよ。何やってたんだよ」とランドセルを背負った誠太郎がすぐに現れた。

結構不機嫌。
だって色々大変だったんだよ。と心の中で言い訳する。

「…あのさあ、セイちゃん。」スタスタ前を歩く誠太郎の後ろを歩くと

「…アイツ誰?」と赤い車に寄りかかった誠一に私を振り返って憮然とした声を出す。

「あー、」
車の中にいてって言ったのに待ちきれなくて外に出たんだろうけど、
外でややこしい話は人に見られるんだけど…

「あのね。セイちゃん…」と言っている途中でガバッと誠太郎に後ろから抱きつく誠一。

「な、なにするんだよ!おじさん誰?」と誠太郎が振り返って顔を合わせた途端、

「…誠太郎」とスリスリと頬ずりする誠一に

「気持ち悪い。離せよ!」とバタバタ暴れる誠太郎を誠一はひょいと抱っこした。

「果歩!こいつ頭おかしいんじゃない?助けて!」と誠太郎はに私は叫ぶ。

「桜庭さん、降ろして。もう小学生だから抱っこは恥ずかしいの」と言うと、

「へえ。恥ずかしい…そっか。」と我に返ったようでやっと誠太郎から手を離す。

誠太郎は私の後ろにさっと隠れ、

「コイツ嫌い。」と私の腰に抱きつく。


ああ、最初から面倒な事になってる。


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