誓いのキスを何度でも
「もう、今日は帰るよ。これ以上ここにいると帰れなくなる」と急にガタンと立ち上がり、玄関に向かう。


私が送ろうと後を歩くと、立ち止まって振り向いて、固く抱きしめ、

「…果歩のそばで生きたい。
もう一度愛して欲しい。
果歩を取り戻したい。
俺が本気だってわかってもらえるまで、
何度でもそう言おうって決めてここにきた。
果歩の子どもなら、どんな子どもも愛せるって思った。」

と真剣な声で囁くように言うともどかしそうに片手で私の頬に触れ、
反対の手で頭を抱えて私が逃げられないようにして甘くくちづけをする。

ひとしきりくちづけした後、腕の力を緩めて私の瞳を覗きこむ。

「…反則って…言ったよね」と私が睨むと、

「留学する前の夜、果歩の身体に決して消えない焼印のように俺の印を残したいって本気で思った。
妊娠させたいとはその時は思ってなかったけど…。
きっと誠太郎が俺にそっくりなのはその時の俺の思いが強すぎたからだな。」とくすんと笑う。

そんなことができるとしたら…
…本当に困った男なんじゃないかな…
と呆れたため息をつくと、


「7年ぶりに会っても、また、好きだと確認しただけたったよ。
覚悟しといて。
…嫌なら本気で拒否してくれ」

と照れたような、困ったような顔をして
さよならも、おやすみも言わずにドアをサッと出ていった。

私は廊下に立ちすくんだまま、
いつまでも、誠一の言葉と熱い唇を思い出し、

本当にやり直したいって思っているんだと

彼の言葉を信じている自分がいた。
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