誓いのキスを何度でも
「やあ。邪魔しに来たね。」と常盤先生が笑顔のままで誠一を見つめている。

「常盤先生、俺は果歩に一緒にいたいって言ったよ。」

「桜庭先生の気持ちはわかったけど…
誠太郎君が君の子どもなら…君のお父さんは誠太郎くんを放っておくかな…
君にしたのと同じように、誠太郎君に桜花グループを継いでほしいって思うんじゃないかな。
僕の子どもだって認知した方が誠太郎君を守れるって思うけど…」と

「誠太郎は俺の子どもだ。」

「誠太郎は私の子どもです!」と立ち上がると、

「まあまあ。」とリュウ先生と桜子先生がやって来て私の肩をなだめるようにポンポンと叩いて私を座らせる。

「おまえら、昨日俺は釘を刺したよな」とリュウ先生が呆れた声を出して私の横に椅子を持って来て座る。

「常盤先生、敵意剥き出し。」と桜子先生も常盤先生の隣に座る。

「誠太郎の戸籍上の父親になるより、本当の父親になる事を考えたら…
それに、こんな事で喧嘩して果歩ちゃんに嫌われたら元も子もない」
とリュウ先生はお説教をし、

ふたりはしばし睨みあった後、

「果歩、悪かったね。久しぶりに独占欲が出たら抑えきれなかった。
誠太郎の父親になれるように僕なりに努力するよ。
明日の食事、楽しみにしてる」と常盤先生が笑って立ち上がっていなくなり、

「俺、ゲームの攻略本、読み込んで誠太郎に会うから…」と誠一も私に笑いかけてから立ち上がって食堂を出ていった。


私はリュウ先生の隣で大きなため息を吐く。


「まったく…しばらく大変そうだな…。いつでも相談に乗るし、誠太郎の事も預かるから」

とリュウ先生は私の頭をポンと叩いて立ち上がって救命のドクターと合流し、

桜子先生はここで一緒に食べていい?と笑って、私がうなづくと、
定食を持ってまた私の前に座って食事を始めた。

「果歩ちゃん、食べなさい。まだ、仕事があるんだから」

と言われ、私は食べ終わっていない事にやっと気がついて、箸を手に取った。
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