誓いのキスを何度でも
土曜日午前11時。

誠太郎と一緒にマンションの前で待つと、
真新しい外国製の大きな鮮やかなブルーのオフロード車がマンションの前に止まる。

シンさんがゆっくり車から降りてくる。

「カッコいい」と車に釘付けになってテンションの上がる誠太郎に

「こんにちは。誠太郎くん。
お母さんのボーイフレンドの常盤 真です。
誠太郎くんとも仲良くなりたいと思って今日は食事に誘いました。
よろしくね。」とシンさんは親しげに微笑む。

「…へー。さいきん果歩モテモテじゃん。」と私を振り向くけど、

「うん。果歩ちゃんは昔からモテモテだったよ。
でも誠太郎君に会わせてもらえる男は少ないんじゃないかな?
誠太郎君は果歩ちゃんの宝物だからね。
前の座席に乗る?誠太郎君用のシートも用意してあるよ。」

「前に乗っていいの?」と嬉しそうに目を輝かせる。

背の高い車の助手席によじ登ってシートベルトを閉めてもらうともうご機嫌な顔で私を振り返る。
私がうなづくと嬉しそうに笑う。

「車買い換えたんですか?」と私は少しため息を吐く。

「そう、カッコイイ車で外に連れ出そうって思って…
男の子はやっぱり車が好きでしょ。」と私の瞳をいたずらっぽく覗くシンさん。

「今日はよろしくお願いします。」と頭を下げると、

「こちらこそよろしく。」とシンさんは笑って、私の腰に手を添えて、後部座席に促した。

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