この手だけは、ぜったい離さない
綺麗な家ばかりの住宅街の中に、このあたりでは一番広い公園があって。
私ははるちゃんに誘導されるがまま、公園の隅にあるベンチに座った。
この公園も最近できたのかな。
船の形の大きな複合遊具があって、その横には筒状の滑り台もあるし、ながーいローラー滑り台もある。
他にはブランコもあったり、あとは筋トレができるっていう大人向けの遊具がある。
小学生くらいの子供が数人遊ぶ中ではるちゃんが「あかりちゃんって、追野くんと仲いいよね?」ってニコニコしながら私の顔を覗きこんできた。
「そうかも。隣の席だからよく話すんだよね」
「追野くんってさ、優しいしかっこいいしなんかいいよね。ほら、典型的な王子様キャラじゃん?」
「あはは、確かに。女の子たちから人気あるもんね」
って、はるちゃんは洋くんのことが好きなんじゃなかったの?
なんて疑問を浮かべると「私、追野くんってあかりちゃんのことが好きなんじゃない?って思うんだけど!」とかっていう…。
そんなまさかの言葉が飛び出してきたもんだから「エェーッ⁉」と叫んでしまった。