この手だけは、ぜったい離さない




「あかりっ……あかり、着いたよ」



オリエンテーション合宿も終わりを迎え、約3日間お世話になった宿舎を出た。



朝からクラス対抗の大縄跳び大会をした疲れのせいか…。

帰りのバスの中でいつの間にか熟睡してしまっていた私は、みっちゃんに「着いたよ」って肩を揺すられて飛び起きた。



「はっ……私寝てた⁉」



宿舎を出てからすぐ、バスレクのクイズがはじまったところまでは覚えてるんだけど。

ということは、バスに乗ってすぐに寝ちゃったみたい…。



「気持ち良さそうに爆睡してたよ。ほら、学校に着いたから降りよう」



みっちゃんに続いてバスを降りて、グラウンドにクラスごとに並ぶと先生の長い話しがはじまった。



「大きな怪我もなく、無事にオリエンテーション合宿を終えることができました。……」



この合宿中はずーっと、はるちゃんと洋くんのことばかり気にしてしまって。

気持ちが沈んでしまったり、野外炊事では指を切ってしまったりしたけど。



神田さんや園崎さんたちとも仲良くなれたし。

洋くんと一緒にオセロしたり、はじめてふたりで写真を撮ったり。

なんだかんだ、楽しかったなぁ。



この3日間のことをぼーっと思い返していると、いつの間にか先生の長い話しは終わっていた。



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