この手だけは、ぜったい離さない
『6年経ったらまた戻ってこられるんだってお父さんが言ってたの。だからね洋くん。また会おうね!』
登下校時も、学校の休み時間も家に帰ったあとも一緒に遊んで、俺にとってあかりはそこにいて当たり前の存在だった。
いなくなってからはじめて、俺はあかりのことが好きだったんだって気づいた。
それは俺にとってのはつ恋だ。
『うん……おれ、待ってるね!あかりのこと、ずっと待ってる!』
しばらく会えないのかって思うと、情けないけど涙が止まらなかった。
でも6年経てばまたあかりに会えるんだよな?
ちゃんと帰ってくるんだろ?
だったら俺はあかりを待ってる。
大丈夫、6年なんてあっという間だって。
その6年間を乗り越えれば、またあかりと一緒にいられるんだからな。
6年後にあかりがこの町へ戻ってきたときに、今度は俺があかりを守れるように。
『洋くんかっこいいね』って言われるような、そんな強い男になってやる。
心の中でそんな誓いをたててから、もう6年が経ったのか。
あっという間に時が経つだろうなって思ってたけど、あかりのいない6年間はやっぱり長かったな。
あかりは向こうで元気にしてんのかなー、とか。
彼氏とか作ってたらマジで凹むわ、とか。
いま思い返せば、あかりのことばっか考えてたな俺。