この手だけは、ぜったい離さない



「いやいや何言ってんだよ?俺だよ、仙崎洋‼ほら、まいにち登下校一緒にしてただろ?」

「……えっ?洋……くん?」



このヤンキーが?

あの泣き虫だった洋くん?



いつも私の後ろに隠れてびくびくしてて…。

小学3年生のころの同じクラスのいたずらっ子、啓太くんにちょっかいをだされてはいつも『啓太くんがぁっ……』って毎日泣いていた…。



「え……ほんとのほんとに洋くん……?」



小学校の帰りみち、通学路でかけっこをしていたときに転んでしまって。

『痛い痛い』って泣いていたあの洋くん⁉



「俺はすぐにあかりに気付いたってのに、あかりは俺のこと忘れてるってひどくね?」

「ほんっとうに洋くんなの?」

「何回聞くんだよ、あたりめぇだろうが」



やだ……うそ。

洋くんが……あの泣き虫だった洋くんが。



ヤンキーになってるぅぅぅっ……⁉


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