幾千夜、花が散るとも
8章
 家族旅行の他は大学の時の友達と会った以外、近場に出かけるか、千也か一也とのんびりして終わったゴールデンウイーク。休み明けのやる気の無さったら。こなさなきゃなんない仕事はあるのに、頭とカラダがついてかない。そんな感じ。

「あーもうっ、そろそろ寿退社したいわぁ」

 みなみ先輩がパソコンのキーボード叩きながら、ぼやく。同棲中の彼氏はまだ契約社員らしく、正社員になってから先輩の両親に挨拶に行くのを約束してくれてるらしい。

「営業の菊池さん、6月で辞めるんだって! 結婚してダンナさんの転勤についてくみたいね」

「あーそうなんですね」

 適当に相槌打ったら。他人事じゃないわよぉ?、とまたお節介が始まった。
 
「可南子も26でしょ。好きな人いるんなら、告るなりダメなら次見つけるなりさ」

 ひそひそ声でお喋りは止まらない。

「笑ってれば可愛いんだし。初めはちょっと冷たそうに見えるけど、話せば普通って分かるし大丈夫、大丈夫!」

 ・・・・・・。そーでしたか、センパイはあたしをそう思ってましたか。

「・・・そうですよね。ちょっとガンバってみます」

 あたしが小さく笑うと、みなみ先輩は満足したように自分の手元に集中した。

 これでもし、こっちが早く辞めるコトにでもなったら面倒そうだなぁ。胸の内で憂鬱な溜め息を漏らし、プリントアウトする為にあたしはイスから立ち上がった。
 





 こないだ会った友達の一人ももう子供がいて。訊けば色々教えてくれるんだろうと思う。でもどうあれシングルマザーだし、相手を探られたりするのは鬱陶しいだけ。家や会社じゃ検索しづらいし。通勤電車に揺られながら、スマホで勉強中だ。
 
 多分あの時は生理が終わって5日目か6日目。ギリギリ排卵日に間に合ってるかどうか。だとしたら、やっぱり来週まで待たないと検査薬もムリかな。生理周期も安定してて、予定日からほとんど遅れない。だから妊娠は分かりやすいハズ。

 もしダメだったとしても。365分の5日の約束を終わりにしてもらうコト。その為だけじゃないけど。いっぱい抱いて欲しいって・・・思ってるコト。千也に伝えようって、あたしは決めてた。
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