さすれば恋となる

チワワが通り過ぎるまで、見事に私を盾にしてへっぴり腰の緋衣呂君。

意外すぎる一面を見てしまった。

でもそれも緋衣呂君。



「 ごめん、詩乃… 犬はダメなんだ…… 情けないだろ 」



あ、落ち込んでる?



「 そんなことないよ~ 人それぞれだもん。猫は大丈夫?」




そう、人それぞれだからね。

情けないとか思わないけど、怖がる緋衣呂君にビックリだよ。



それなら良かったとホッとした緋衣呂君が笑顔を見せながら私にこう言った。



「 犬が歩いてたら詩乃が盾になれよな 」



え?



耳が聞き違いしたのかと……

私を盾にするのかと思ったが、仕方がない。

怖いものから逃げたいのはわかる。

私もいつか、何かから緋衣呂君に守ってもらいたいから。



「 緋衣呂君、私… 」

「 詩乃、前向いて歩けよ 」

「 あ、はい 」



何言おうとしか忘れちゃった……


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