Dear Hero
「ねぇ、今好きな子って水嶋さん?」
「!?誰に聞いたの!?」
「誰にも聞いてないって。見てたらすぐわかるよ。私がどれだけダイくんの事見てたと思うの?」

ドヤとばかりに威張る紺野。
こんなしょっちゅう話すわけでもない紺野にまでバレてるというのか。
どれだけわかりやすいんだよ、俺。


「水嶋さんの事を見るダイくん、今まで見た事ないくらい優しい眼してるよ。ちょっと…妬いちゃうくらい」
「……」
「付き合ってるんだと思ってた」
「いや、それは…明日言おうと思ってて……」
「わ、リアルタイムだ!明日振られた後に言えばよかったなぁ」
「おい!何で振られること前提なんだよ!」
「あははっ冗談だよ」


ズボンの中で携帯のアラームが鳴る。
休憩時間終了の合図だ。


「……じゃあ俺、行くな」
「うん。私は…もうちょっとここにいようかな」

ベンチから立ち上がると、紺野の方を向き直す。


「今日はありがとう。俺も、紺野と一緒に回れて楽しかったよ」
「またそういう事言う。諦めきれなくなるじゃん」
「そう言われても……」
「冗談だってば」




紺野に気持ちを打ち明けられた事で、少しだけ自分に自信がついた気がする。

さて。
次は俺が勇気を出す番だ—————
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