Dear Hero
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ぱちっと目を開くと、見慣れた光景。
隣には16歳の紺野。
今度は、ちゃんと向き合わなきゃ。


「……ありがとな。めちゃくちゃ嬉しい」


自然と笑みがこぼれる。
ぎゅっと力んでいた紺野も、少し肩の力が抜けたように見える。


“俺も、好きだったよ”


そう伝えようとして、飲み込んだ。
この言葉は、過去じゃない、今、好きな子に言うべきだと思った。


「でもごめん。今好きな子がいるから、紺野の気持ちは受け取れない」
「そっか……。そう返ってくると思ってたんだけどね」


哀しそうに笑う紺野。
そんな顔するくらいなら、笑わなきゃいいのに……


「本当はね、ずっと伝えないつもりだったんだ。でも、今日一緒に過ごしてたら、気持ち止まらなくなっちゃって…。突然ごめんね」
「謝るなよ。俺はその…言ってもらって嬉しかったわけだし…」
「でもどうせ振るんでしょ?」
「そうだけどさぁ……」

いつものいたずらっ子の顔だ。
俺も思わず、いつもの拗ね顔になる。
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