Dear Hero
……覚悟はしていたはずだった。
それが依の幸せになるんだと信じていたから。



「………っ」


目の前で泣き続ける依を見ていたら、心が切り裂かれるように痛くなる。
本当にこれが正しい選択だったのか。
この決断で、本当に依は幸せになるのだろうか。
俺たちの…エゴを押し付けただけなんじゃないかな…。



「……大護くんが気に病む事はないよ」


そんなに思い詰めたような顔をしていたのか。
樹さんに肩を叩かれて振り向くと、同じような顔をしていた。


「結局巻き込んじゃったね。嫌な思いさせてごめんな…」


残っていたスーツ姿の人たちが依にも話を聞くとの事なので、俺は部屋を後にした。



これからもまた会える。
そう思って。



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