Dear Hero
Dear Hero
いつの間にか、3月になっていた。
期末テストが終われば、三学期も終わり。
このまま、依が来ないまま高2の生活は終わってしまうのだろうか。
明後日からの期末テスト、依はちゃんと受けるのかな。

…あいつの成績なら、1回くらいテスト受けなくても留年するなんて事はないのだろうけど。


あの日以降も、依は学校に来ていない。
制服も鞄も、まだうちに置きっぱなしだったから。
今はおじさんのホテルにいるって聞いた。
今日は依の荷物を持ってきたから、学校帰りにおじさんの所へ行く予定。


「大護これ。頼まれてたやつ」
「孝介先生!まじありがとう!お礼にハグしてやるよ」
「いらない」
「即答」
「……水嶋さん、来るといいな」
「………うん」
「大護だけ3年に上がれなかったらどうしような」
「テツくんやめてよ。ありえなくないんだから」
「…そうゆう事言わないで。まじで必死なんだから」


いつも通りの学校生活を送っていたとはいえ、授業は聞き流している事も多かったから、必死でテスト勉強している。
今回ばかりは孝介先生も何も言わずに協力的。
部屋の勉強机は溜まった埃を拭き取るところから始まった。
こんな事は言いたくないけど、勉強している時だけは何も考えずにいられた。
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