天神学園のお忍びな面々
取り敢えず、美緒は甲斐を連れて当面の住まいへと戻った。

天神学生寮。

留学生や遠方から通学している生徒達の為に準備された寮だ。

美緒の両親も、学生時代はお世話になったらしい。

「私の部屋はここです」

まだ比較的新しい部屋の入り口を指差す美緒。

「…扉が薄いですね。火縄銃でも貫通してしまいそうな脆弱な造りだ。これでは敵の狙撃には耐えられまい」

コンコンと、部屋のドアを軽く叩きながら言う甲斐。

「防音性も低く、会話も筒抜けになり易い…敵の間者に情報が漏洩してしまう…」

壁に耳を当てる。

護衛役の観点から意見を述べているのだろうが、美緒にしてみれば、ケチばっかり付ける口煩い人だ。

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