天神学園のお忍びな面々
そんな賑やかな宴から少し離れた場所。

リュークは桜の幹に凭れ掛かり、騒ぎの様子を眺めている。

…騒々しくも、心躍る場所だ。

リュークは幼い頃から、勅使河原家の番犬でいる事が当然の人生だった。

番犬として育てられた為、武道を学ぶ事は辛いと思った事はないが、逆に楽しいと思った事もない。

忠義を尽くし、忠誠を誓う人生。

その事に疑問を持った事はない。

だから、美緒の護衛という名目でこの天神学園に来た事は、新しい発見の連続だ。

己を磨く事、強くなる事が初めて楽しいと思った。

他者との関わり合いで苦悩する事もあるが、離れがたい仲間達だと初めて思った。

この天神学園は、居心地がいい。

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