天神学園のお忍びな面々
よろめくリューク。

エレナは止まらない。

大振りの剣撃を立て続けに放つ粒雪(ざらめゆき)、体術から大振りの斬撃を放つ薔薇乙女(ばらおとめ)。

いいように斬られ、打たれるリューク。

「手心を…」

エレナはカッとなって踏み込む!

「加えるなぁっ!」

横一文字の斬りつけ、牡丹一文(ぼたんいちもん)!

斬撃を受け止め切れず、リュークは派手に吹き飛ばされた。

柳のように体を柔軟に撓らせ、深手までには至っていない。

だが、思わずディアが顔を背けるほどの切り傷は刻まれている。

「馬鹿にしているのですかっ、同情ですかっ!」

涙ぐみ、エレナは大きく菩薩を振りかぶる!

「私の気持ちに、気付いているくせにっ!」

「…ああ」

リュークはその斬撃を、肩口で受け止めた。

鍔元で受けたとはいえ、食い込む刃。

「すまない…口にすべきではなかった」

「っ…」

「俺が勝手に憧憬を抱いていただけの事…憧憬は憧憬と、秘めておくべきだった」

< 368 / 760 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop