天神学園のお忍びな面々
現代の法に則っても、不法侵入はれっきとした犯罪だ。

何でもありの天神地区で、今更法を語るのはおかしな気もするが。

「本来ならば、こうして外を出歩く事さえ許されぬ身。父上や家人の寛大な措置により、貴様はこの程度の扱いで済んでいるのだ。あまつさえ刀工技術の供与まで…これほどの温情を与えて、文句を言われる筋はない」

何から何まで、牡丹に理がある。

リューク、美緒、豆柴としては、何も反論の余地がない。

「大丈夫じゃねぇかなあ」

一部始終を見守っていながら、一番楽観した意見を口にしたのはレオだった。

「何だかんだ言うけど、三人衆もエレナも気のいい奴だし。ミルトゥワの離宮に侵入した連中は、もっとえげつねぇ仕置きをされたって聞くぜ?丸呑みにして服をつるりと剥ぎ取って、ぺっと吐き出したら全身に太い蔓を絡ませて、無理矢理あれやこれやをして搾り取る食人植物をけしかけられるとか」

リュークがディアの、蘭丸が美緒の、椿が豆柴の、牡丹がエレナの耳を、それぞれ慌てて塞いだ。

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