天神学園のお忍びな面々
「…テリア」

白雪が、テリアの肩に手を置く。

ビクリと、一際大きく震えるテリア。

「…決断を…時間はあまりない…」

事実そうだった。

龍鬼もまた、修行中の身だ。

3つの血の同時覚醒は、そう長くもつ訳ではない。

長時間の覚醒は意識を持っていかれ、また吸血鬼や悪魔の凶暴な破壊衝動に飲み込まれてしまうだろう。

迅速な行動が必要だ。

「テリア…」

急かすように、呼びかける白雪。

「早くしてくれっっっっっっ!」

白雪達の眼下で、龍鬼が叫んだ。

あの暴虐を振るった紀州の体を、完全に押さえつけている。

大した力だ。

だがそれとは裏腹に、苦しげなのは寧ろ龍鬼の方だった。

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