天神学園のお忍びな面々
「豆柴、貴様は何だ」

牡丹の鋭い瞳が、豆柴の瞳の奥底まで覗き込む。

決して恐ろしくはないが、牡丹は何処か怒っているかのようだった。

「何度も言った筈だ。貴様は夕城の虜囚。勝手な真似は許さん」

「な、何を…」

ただの横暴な言い分ではない。

まるで恋人に、浮気をしたら許さないと言い聞かせるような。

どうしてだろう、膝が笑う。

牡丹の腕が腰に回されていなければ、あっという間に腰が抜けてしまいそうだ。

事実。

「おー?何だ何だお二人さん、こんな真昼間っから逢引かあ?」

通りかかった龍鬼に声を掛けられ、牡丹がヒョイと手を離すと。

「っっっっ…」

豆柴はヘナヘナと、腰砕け状態になって砂浜にへたり込む。

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