One Night Lover
一夜限りの男
華乃は今、知らない男に抱かれている。

華乃にとってこれが初めての男性経験だった。

華乃は今日5年間の想いに終止符を打った。

初めての男は山崎渉だと決めて居たが
それはもう叶うことはない。

相手は誰でも良かった。

20歳になる今まで渉のためにキスすらした事もなかった。

ほんの1時間ほど前にたまたまクラブで目が合ったこの男と何となくいい雰囲気になって
現在に至る。

アルコールの力で緊張はあまりしてなかった。

ただクラブの片隅でこの男としたキスがすごく気持ちよくて気分が高揚した。

男が華乃の口にゆっくりと舌を差し込みお互いの舌を絡めてみると不思議と身体が熱を持った。

そのまま2人でこのホテルに直行した。

這う指も舌も全て気持ちよかった。

重なり合う肌が心地よくて思わず男の背中に手を回した。

男の指がその部分に触れた時、身体が痺れた。

あとはもう覚えてない。

少しの痛みが華乃の身体を走った時、
拒むのはすでにもう遅かった。

華乃の口から悲鳴に近い声が漏れた。

「気持ちいいか?」

男に耳元で囁かれて華乃の体は震えた。

自分は上手く出来たのだろうか?

ずっと大切にして来たこの身体を
どこの誰ともわからないかなりビジュアルのいい
それだけの男に壊される。

「 シャワー先に浴びていいか?」

「うん。」

男は華乃の唇に軽くキスをして
優しく微笑んだあとバスルームに向かった。

理想通りのビジュアルだ。

この人なら初めての相手に相応しい。

そう思い込むことで心の安定を何とか保ってる。

初めてだってわからなかっただろうか?

少し心配だったが、多分大丈夫だろう。

よくやったと自分を褒めた。









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