One Night Lover
王様降臨
海斗と暮らすと色んな事がわかった。

海斗は人一倍寂しがり屋で
独占欲は強くないが、いつも華乃にベッタリだった。

仕事が大好きで、いつかハルちゃんのような料理人になりたいと思っていることや
軽いと思ってたけど浮気は絶対にしない。

華乃は藤ヶ瀬のことを忘れてはいなかったが、
もう元に戻れるとは思わなかった。

華乃のデザインは梨沙にはまだ到底及ばないが
手がけた作品はクライアントからのウケが良く
少しずつこの世に出る事になった。

「華乃、次のデザインも頼むね。

クライアントが華乃の作品を気に入ってさ、
私も頑張んないと抜かれちゃうなー。」

「そんな、梨沙さんのブランドの名前があるからですよ。
私1人じゃまだまだ…」

「今はそうだけどね…華乃はそのうち自分のブランドも持てるようになる。

私のデザインとは似てるようでまるで違うけど
いつか華乃は大きなライバルになる。

だからもっとお互い頑張って大きくなろう。」

華乃には自信というものがついた。

海斗はそんな華乃をいつも応援してくれた。

「華乃ちゃん、いいね。これすごく可愛い。

甘くて華乃ちゃんみたい。」

「それって褒めてる?甘ちゃんてこと?」

「最初に華乃ちゃん見たとき、
なんかドルチェみたいで美味しそうって思った。」

「ドルチェ?」

「うん、甘そうで食べたら美味しいかなって。

で、食べたら華乃ちゃんは本当に美味しかった。

俺はね、ドルチェ見ると幸せになる。

んで、食べるともっと幸せ。」

海斗はそう言って華乃を抱きしめた。

華乃も海斗が居れば幸せだと思った。





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