One Night Lover
嫉妬と浮気と恋心と
華乃がメモを見てなかったと知って
竜のプライドは保たれた。

「まぁ、そうだな。

連絡先知らないもんな。」

竜はメモを残したことを華乃には言わなかった。

「1つ聞いてもいいか?

あの時、どうして俺と?」

華乃は答えなかった。

「すいません。ここでする話じゃないです。

用事がなければ失礼します。」

華乃が席を立って部屋を出て行った。

竜は不機嫌な華乃に少し戸惑っていた。

「アイツは何で俺に怒ってるんだ?」

華乃は藤ヶ瀬の気持ちが全く分からなかった。

5年も前に一晩遊んだ女なんか忘れてて当たり前なのに
何に拘ってるのかさっぱりわからない。

どうせ好きになっても遊ばれて、
いつかは良いとこのお嬢さんと結婚するのだろう。

そう思うとバカにされてる気がして腹が立った。

自分はそういう女だと思われてる。

華乃はそんな自分が惨めで悲しくなった。

健と仲直りするべきなのだろうが
華乃はそんな気分にもならなくて渉と逢う回数が増えていく。

健は健で悶々とした日々を過ごし
華乃への腹いせに美南とホテルに行った。

美南はわざとらしく大きな声をあげるので
健はその姿にすっかり萎えてしまった。

「ごめん…帰るわ。」

「先輩、どうしたんですか?」

美南は華乃を陥れて健とホテルまでたどり着いたものの結局最後までたどり着けず
一人でホテルに取り残された。








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