イケメンエリート、愛に跪く



ホノルルの空港に着くと、舟の車が迎えに来ていた。
その車の運転手は舟を見つけると、さりげなく車から降りる。
そして、舟は助手席に愛を乗せると、自分は運転席に乗り込んだ。

ハワイは最高にいい天気だった。
真冬の日本から来た二人は、それだけで解放感を満喫している。


「愛ちゃんは、ハワイは何度目?」


舟は軽快に運転をしながら、愛にそう聞いてみた。


「二回かな…?
一回目は家族旅行で、二回目は同僚の結婚式で…」


舟は横目で愛を見た。
同僚の結婚式というワードが、何となく胸につかえたから。


「愛ちゃんが疲れてなかったら、今から僕のお気に入りの海に向かっていい?」


愛は嬉しそうにうんと頷いてくれる。

舟は何度も来るハワイなのに、今回はまるで景色が違って見えた。
空の色も海の色も、緑の木々さえも光り輝いて見えるのは、愛が隣にいるからだろうか…?

舟は隣に座る愛の手を握る。
いつでもどこでも、愛を触っていたい。

ホノルルの街中を車で抜けながら、舟は自分の状態を自己分析してみる。

今の僕は、愛ちゃんに骨抜き状態だ…
愛ちゃんが右と言えば右を向くし、愛ちゃんのためなら何でも差し出す事ができる。
恋をするってマジで怖い…

街中を通り過ぎると、舟は窓を開け音楽を流した。

僕はやっぱりどうかしてる。
ラブソングを聞いて、泣きそうになっているなんて…






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