イケメンエリート、愛に跪く



愛は舟から飛行機のチケットをもらうと、ビジネスと記載されていて驚いてしまった。


「舟君、私はエコノミーでもよかったのに…」


舟はポカンとした顔で愛を見ている。


「え? 本当はファーストクラスで頼んだんだけど、日本からハワイ行きの飛行機ってファーストが無いんだって。ビックリだったよ。

っていうか、逆にビジネスでごめんね。

でも、二人掛けに近い席があったから、それをお願いした」


愛は舟の金銭感覚が普通じゃない事を改めて思い知らされた。
舟君って、一体どれだけ稼いでるの…?


飛行機の中はとても快適だった。
卵型のシートは、足の先までゆっくりと伸ばす事ができる。
そして、愛と舟のシートだけが、ニ席ピッタリとくっついていた。

愛は、長い時間、舟と一緒に居る事が何の苦にもならない。
家族でも親戚でもないのに、近くにいると完璧に守られている安心感がある。
言葉をたくさん並べなくても、舟の存在一つが愛に全てを語りかける。
……僕がいるから、安心して、と。


舟も愛とずっと一緒に居れる事に、喜びや居心地の良さを感じていた。
愛の仕草や笑顔をずっと見ていられる幸せにため息が出てくる。

でも、公共の場のため、キスができないのが苦しかった。
いや、僕は、全然平気なんだけど、日本人の愛ちゃんは恥ずかしいらしい。

愛ちゃんが嫌なら、僕はちゃんと言う事を聞く。
愛ちゃんのしたいようにさせてあげたいんだ。

それがいいのかは分からないけれど…







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