お気の毒さま、今日から君は俺の妻

 けれど珠美は「私、きれいで美しいものはみんなだーいすきですっ」と、屈託なく笑って、そのまま甘えるように澄花の腕にしがみついてきた。


「もう、タマちゃんったら……」


 珠美はいつもこんな感じなので、澄花は毎回ビックリしてしまうのだった。

 澄花には珠美以外、友人らしい友人はいない。

 もちろん学生時代の知り合いはいるが、意識して連絡を取らなくしているうちにすっかり疎遠になった。
 ではなぜ珠美と親しくしているのかというと、彼女はまったく他人のうわさ話をしないからだ。彼女の口から入社してから一度だって、他人のことを悪く言うことを聞いたことがない。

 そのことに気が付いたのは、入社してすぐのことだが、親しく話すようになっても、珠美は澄花が聞かれたくないことを何一つ聞いてこなかった。

 普段はおてんばな子供のような珠美だが、その中身はかなりクレバーなのだろうと、澄花は感心していた。
 そうでなければ、珠美だって澄花に踏み込んでくるはずだ。



< 19 / 323 >

この作品をシェア

pagetop