お気の毒さま、今日から君は俺の妻
(転ぶ……!)
普段はほとんど気にしたことがないのに、こういう時は自分の体の重さに驚いてしまう。崩れるようにその場にしゃがみこむよりも早く、龍一郎が動いた。ひざまずき、澄花の後頭部と背中を手のひらで支えたのだ。
「どこか具合でも悪いのか」
澄花を覗き込みながら、彼の美しい眉がひそめられる。
場違いにも、なんてきれいな顔だろうと思ったが、今はそれどころではない。
この目眩は長湯をしたせいで、よくあることだ。澄花は首をかすかに振った。
「いえ、ただの……立ちくらみで……あっ」
少し休めばなんともないと言うつもりだった澄花は、また龍一郎に抱き上げられていた。
「えっ、あのっ、」
「休みなさい」
そして龍一郎はバスルームを出て、リビングのソファに澄花を横たわらせると、ベッドルームから毛布の山を持ってきて、澄花の体の上にかける。ドサドサと乗せられたそれは、ずっしりと重く、澄花は毛布に埋まってしまった。
「医者を呼ぶ」
頭上から重々しい声がした。
「医者っ……? いえ、すぐ治りますっ……」
わざわざ医者を呼んでもらうほどの事ではない。
澄花は体の上に重ねられた毛布をかき分け、顔を出し首を振った。