お気の毒さま、今日から君は俺の妻
すると、なんと床に片膝をついて、自分の顔を覗き込んでいる龍一郎と目が合った。
(近い……!)
一瞬驚いたが、龍一郎は彼は少し考え込むように目を細めたあと、
「君がそういうなら」
うなずきながら、また澄花の体の上に毛布をかぶせようとする。と同時に、彼の胸元からピリピリ……と着信音が響く。
「――チッ」
スマホを取り出して着信を確認した龍一郎は、不愉快そうに舌打ちすると、すっとその場に立ち上がった。
そして電話に出た瞬間、彼の表情が一変する。
「はい……はい。いえ……はい、申し訳ございません。すぐに参ります」
(え……?)
澄花は目を疑った。
電話に出た龍一郎の顔は、ビックリするくらい豹変していた。
ずっと無表情、どちらかというと冷たく感じるような美貌が、誰もが見惚れるような美しい笑顔になっている。
この顔に見惚れない人間が、はたしているだろうか?
そう思えるくらい、輝くような笑みだった。
だがそれは、それまでの無表情な彼を見ていた澄花にとって、とても自然な感情の流れとは思えない。そのくらい異質に感じた。
(なんだか変な気がする……)