お気の毒さま、今日から君は俺の妻
「何をされたら嬉しいって……」
澄花はその瞬間、すうっと体から熱が引き、全身が冷たくなっていく気がした。
春樹が死んでからずっと、嬉しいとか楽しいとか、そんなことを全身で感じることはほとんどなくなっていた。
もちろん澄花だって日々生活をしているうえで、それなりに笑ったり落ち込んだりすることもあるが、ただそれだけで……通り過ぎるだけの感情はすぐに消えてなくなってしまう。
春樹が側にいたときのように、世界がキラキラと輝いて見えた日々はもう二度と戻らない、遠い過去だ。
「そんなの……ないです」
澄花はかすかに震えながら、首を振った。
「――ない?」
「ないです……嬉しいことなんか、なにも」
澄花は首を振った。
口に出すといっそう空々しい気がするが、それが澄花の本音だ。だがそれを聞いて龍一郎は切れ長の目を細める。