ただ、そばにいたいだけ。



新くんから、手を握ってくれた。

あぁ、わたし今世界で1番幸せな子だ。
嬉しいほんとに。

絶対玲に報告しなきゃだ。


「で?」


幸せに浸ってると、新くんがこっちをみていた。



「え?」


……で?ってなんなんだろう。
手を握らせてやったんだからお礼くらい言えってことなのかな。
……そうなの?


一瞬本気でそうなのかなと思っていたら新くんは一瞬顔をしかめてこう言った。




「あーどこ行きたいかって、こと」




あぁ、そういことか。
そういえばデートしにきたのに、手をつなげた幸せで忘れてたよ。



「えっ、と…」



「ないの」


焦るわたしに、冷静な新くん。

行きたいとこ、ほんとはある。
いつか好きな人ができたら、いつか彼氏ができたら行きたいなって思ってたところだ。

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