ただ、そばにいたいだけ。


だけど今よく考えたら、新くんが、あの新くんが……了解してくれるかわからない場所だった。


……今からでも変えるべきかな。
あーもう。わたしのバカ。なんでもっと考えて来なかったんだろう。



「いいよ」


ぐるぐる悩んでるわたしに新くんが言った。
思わず聞き返す、



「え、なにが…?」


きょとんとするわたしに、新くんは言った。



「行きたいとこ、どこでも言って」



言い方は冷たいのに、無表情で笑顔もないのに、思わず胸がきゅんとした。
……なんできゅんとするのかわからないけれど、新くんの優しさに、わたしは弱いらしい。



「あの、ね……」



「なに?」


「す、水族館、行きたい……」
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