ただ、そばにいたいだけ。





「っう……っうれ、しくて…ごめっ」



嬉しかった。
彼女って言ってくれたことが、嬉しかった。


わかってる。わかってる。
こんなのただの肩書きでしかないってこと、ちゃんとわかってる。



でも、新くんの口から彼女って言ってくれたことが嬉しかった。
だって最近まで彼女って認識すら、いや、存在すら覚えて貰えてなかった。




「ふーん」




どうでもいいけど早く泣き止んでくれってオーラーを出しながら、新たくんはわたしの手を握って歩き出した。
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