この恋が実るなら
山口さんの事も忘れて吉川さんに見惚れてると、寧々さんが慌てて紹介してくれた。
「あ、二人に紹介しなきゃね。こちら、吉川蒼一郎さん。めでたく、お付き合いすることになって…」
と少し照れて頰を赤らめながら微笑む。
「はじめまして。吉川です。寧々の職場の皆さんのことは、よく伺ってます。」
キランと笑顔が光った気がした…。
いや、気のせいか。イケメンはそこにいるだけで煌々としてるな。
こうして話してる間も二人の指は仲良く絡まっていて…
って、忘れてた!!
山口さん!
はっと振り向くと、やはり抜け殻山口さんが、吉川さんと寧々さんの絡まった手をガン見してる。
「山口さんは、はじめましてじゃないですね。先日は、ご来店ありがとうございました。」
そう吉川さんが声をかけると、睨むように吉川さんに目を移した。
「え、山口さん、吉川さんに会ったことあったんですか?」
と聞くと、それには答えず、
「うまくいったみたいで、よかったですね。」
と無感情に言葉を落とした後、とっても切ない悲しい目で寧々さんを見つめた。