恋は盲目、愛は永遠
「どうした?唯子」
「手を伸ばせば届きそうなくらい近くに見えるけど・・・やっぱり遠いですねって、何かおかしいですか?」
「いや・・・私も子どものころは、よくここからそうやって手を伸ばしたなと思い出した」
「ということは・・私の発想は子どもですか」
「いや。唯子らしい発想だ」と鈴太郎さんは言うと、伸ばしていた私の手に、自分の手を重ねた。

「この夜空が気に入ったか?」
「は、ぃ・・・」

鈴太郎さんは、私の耳元で囁くように聞きながら、少しずつ重ねていた手を下げていった。

「そうか。私の好きな景色が唯子も好きでよかった。また明日も見よう。こうやって・・・」
「はぃ・・・」

そんなステキな誘い文句を耳元で囁かれるせいか、私のドキドキ鼓動が激しく高鳴ってきた。

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