恋は盲目、愛は永遠
「太陽エネルギー、ですか」
「そうだ。原子力に代わる次のエネルギー源は太陽。それが日常的に使えるよう実用化できれば、人々の暮らしと自然はもっと豊かになると思ってな」
「それで伊集院テクノロジーを作ったんですか」
「そういうことだ」
「壮大な夢ですねぇ・・・」と私は心の底から感心して言った。

太陽エネルギー。
自分のためだけじゃなくて、人類のために叶えようとしている心意気。
夢のスケールが違う。
さすがは伊集院鈴太郎さん。

鈴太郎さんは、その夢を実現させるために、スポンサーと研究者を募るべく、世界各地を奔走中だ。
いくら天体が好きとはいっても、それは自分にとっては専門外で、いくらお金や資産を持っているとはいっても、自分一人で全てやるには限界があるということも知っていて。

鈴太郎さんは、自分ができることとできないことがちゃんと分かっている。
その上で、自分ができることに関しては、惜しみなく力を出しきる。
世間のみんなは、そういう一面を知らないんだよね、きっと。

私も鈴太郎さんと一緒に暮らし始めるまで、そんな一面を知らなかった。
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