恋は盲目、愛は永遠
私は咄嗟に鈴太郎さんの頬に手を当てた。
やっぱりそこは、涙で濡れていた。

鈴太郎さんは少し体を震わせていた。
泣くのを必死でこらえているようだ。

「私は焦っていた。やっと出会えた最愛の女(ひと)を手放したくない。その一心で強引におまえを私の手元に置いてしまった。私がこれだけ愛しているんだから、唯子もきっと私を愛してくれる。そんな傲慢な思いだけで私はおまえをつなぎとめてしまった」
「鈴太郎さん・・・・・・」

鈴太郎さんの震える声と震える体が、私の手を通して心に伝わる。
その思いは本物だという雰囲気も、ひしひしと伝わってきた。

「だが私は、こうしたことを後悔はしていない。後悔しないよう、日々唯子を愛し続けてきたつもりだ。そしてもし、また同じような状況で出会ったとしても、私はおまえを強引につなぎとめると思う。それほど唯子を愛しているんだ。手離したくないんだ。唯子への溢れんばかりの愛情が、唯子には重いかもしれない。だが私は生涯かけて唯子に愛情を注ぎ続ける。だから・・・」
「だから?」

「少しだけでもいい。私の愛を受け取ってくれないか」


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