恋は盲目、愛は永遠
疲れてきた・・・なんて非力な私。
あらゆる面で私は鈴太郎さんより劣る。
運動神経もない私がいくら腕力で訴えても、鈴太郎さんはビクともしない。
だからといって頭脳面で訴えても、負けは見えているし・・・。

私の叩く力が弱まったのを感じた鈴太郎さんは、私のめがねを外すと、両手首をそっとにぎって、叩くのをやめさせた。
私はただ、しゃくり上げて泣くことしかできなかった。

「確かに私が唯子にしたことは、許されることではないだろうな・・・」と鈴太郎さんはつぶやいた。

そのつぶやきが、私の心のどこかに響いた。
あまりにも悲しく、そしてあまりにも寂しく聞こえたから。

「私はただの伊集院鈴太郎だ。唯子と同じく感情のこもった人間だ。嬉しければ笑い、悲しければ泣く。大抵のことは器用にこなせるし、こなせなければこなせるまで努力する。だが・・・相手が唯子だと、全然うまくいかない。私はおまえを傷つけてばかりだ。私はただ、唯子を喜ばせたいだけなのに・・・そして私は唯子のそばにいたい・・・おまえを一生愛し続けたい。それだけなのに・・・」
「・・・りんたろうさん・・・?」

え?鈴太郎さんが・・・泣いてる?
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