恋は盲目、愛は永遠
その日からアメリカ行きまでの2日間、鈴太郎さんは屋敷内の書斎で仕事をこなした。
少しでも私の身近にいたいという配慮が、とても嬉しかった。

「鈴太郎さん、会社へ行かなくてもいいんですか?」
「ここでも仕事はできる。心配しなくてもいい。むしろこの私がそばにいることで唯子が安心できれば、それに越したことはない」
「そうですか・・・。奈穂さん、って、福島さんの彼女ですけど、そういう風に膨れ上がる自分の欲望を、わがままだと言ってました。私はそれは自然な欲望だと思うんですけど」
「”そういう風”とはなんだ?唯子」
「えっと・・・もっとそばにいたいとか、触れたいとか。つまり・・・・・・”もっと”です」
「唯子はその”もっと”があるのか」
「・・・はぃ・・」
「この私に対して」
「ぁ、そうです、ね」
「そうか。ではその”もっと”を私にぶつけてほしい。いつでも、どこでも。唯子の全てを」

と鈴太郎さんは言いながら徐々に私に近づき、最後は私の腰に両手を回して動けなくすると、キスで完全に動きを封じた。
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