恋は盲目、愛は永遠
「大丈夫です。待てます」
「そうか。おまえが検査を受けたくないというのなら、いつでもキャンセルはできる。だから気が変われば言ってほしい」
「分かりました。鈴太郎さん?」
「なんだ唯子」
「ありがとう」と私は言ってニコッと微笑むと、鈴太郎さんの唇にそっとキスをした。

軽く触れただけですぐ離そうとしたけど、鈴太郎さんはそれを濃厚なキスに変えてしまった。

「すまない唯子。手荒な真似をして・・・風呂に入るか?」
「ぁ・・・はぃ・・・」と返事をすると、鈴太郎さんはすぐに布団をはいで私を姫抱っこし、お風呂場へ連れて行ってくれた。

元々お風呂はめがねなしで入っていたから、不慣れな感じや不便さは全然なかった。
でも視界が暗闇だけになったら、お風呂に入るのも一苦労だ。
最初から全盲だったほうがマシだったのかな・・・。

ううん、まだ希望はあるんだ。
「見たい」という欲望もあるんだ。

だから諦めない。

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