恋は盲目、愛は永遠
なんか・・・視線で焼け焦げそうな気がする。
ジリジリ、ジリジリ・・・。
まさに私は陸に上がった焼き魚状態?

めがね越しに見る鈴太郎さんは、やっぱり美麗だった。
細身の体型には、ムダな贅肉がついていない。
とても43歳には見えない若々しいエネルギーに満ち溢れている。

小さい頃から視力が弱い私は、その他の感覚で視力の悪さをカバーしてきた。
だから人の気配や雰囲気を、敏感に察知しやすいほうだと思う。
これで心まで読めたらいいのだけど・・・必要ないか。

「鈴太郎さん、そして福島さん。大変お世話になりました。このお代は、必ずお支払いを・・・」と私が言いかけた途中で、
「必要ない」と鈴太郎さんに一蹴されてしまった。

「でも・・・」
「唯子はこれからどこへ行く?」
「えっと、私は家に帰る途中で・・・」
「そうか。では送っていこう」と鈴太郎さんは言うと、また私の手を自分の腕に絡ませた。
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