恋は盲目、愛は永遠
ささやかな反抗を試みた結果
「唯子。こちらがもうひとりの住み込みメイドのみさえさんだ。ちなみにみさえさんは倉田の、サキさんは福島の母上だ」
「あっ!そうでしたか!これからお世話になります」と私は言って、みさえさんにペコリと頭を下げた。

「そして庭師の泰蔵(たいぞう)さんは、みさえさんの夫だ」
「このたびはおめでとうございます」
「あ、ありがとうございます。これからお世話になります」

ニコニコ笑顔で迎えてくれた泰蔵さんにも、私は頭をペコリと下げて、お礼と挨拶を済ませた。

福島・倉田両夫妻は、「離れ」に住んでいること。
そして福島サキさんの旦那様の秀則さんは、鈴太郎さんのお父様の秘書をしていること。
鈴太郎さんの第一秘書の福島さんの名前は翼で、運転手の倉田さんの名前は直樹ということ。
両夫妻はずっと伊集院家に仕えているので、彼らのことは生まれたときから知っていることなどを、食事中に鈴太郎さんは話してくれた。

ちなみにサキさんの旦那様は、仕事で中国に出張中だとか。
不在なことを詫びていたと鈴太郎さんから聞かされた私のほうが、詫びたくなってしまった。
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