恋は盲目、愛は永遠
鈴太郎さんは、相変わらず私の両手首を抑えたままだ。
私が暴れて抵抗しているからだろう。
覚悟は少ししていたけど、このときを迎えて、無意識に体がそう動いていた。

「や・・・りんたろ、さん・・・いや・・・」
「唯子は私のことが嫌いか?」
「きらいじゃ・・・ないです。でも・・・いや、です。おねがい、ですから、やめ・・・て・・・」と私が必死に懇願すると、鈴太郎さんは私の両手首をもっときつく押さえた。
「いたっ」と言って顔をしかめた私を、鈴太郎さんはひたと見据えた。

「おまえはこの私に選ばれた女だぞ」

ゾクッとした。
怖くて。
ぼんやりとしか鈴太郎さんの顔は見えないけど、雰囲気が怖かった。
苛立ちも感じた。

・・・そうだ。
仮に今夜鈴太郎さんが私の願いを聞き入れてやめてくれても、明日か明後日、1週間後・・・いつかは鈴太郎さんのお相手をしなければいけない。

だって私は、鈴太郎さんの妻になったのだから。

私は目をつぶった。
そのまま「・・・分かりました。すみません」とつぶやいた。
< 62 / 298 >

この作品をシェア

pagetop