恋は盲目、愛は永遠
「明日の朝食に作るとしよう。腹が空いたな。ここでランチを食べるか」と鈴太郎さんは聞くように言いながら、テクテク歩きだした。

私の手をつないだまま。

「あ、りんたろ・・わっ!」鈴太郎さんの歩くペースに出遅れたせいか、小走りに歩いていた私は、よろめいてしまった。

すかさず鈴太郎さんは私を抱きとめると、つないでいた手を自分の腕にしっかり絡ませた。

「このほうが歩きやすいか?それとも姫抱っこを・・・」
「これでいいですっ!こっちがいいですっ!!」
「そうか。私はどちらでも構わないぞ。では行こう」と鈴太郎さんは言うと、ゆっくり歩き始めた。

途中、前を見たまま車のキーをヒョイと後ろに向けてロックする鈴太郎さんは、何をしてもキマるなと思う・・・あ。
鈴太郎さんの歩くペースが少し遅いのは、私のペースに合わせてくれているのかな。
こういう優しい面を見せられると・・・ますます逃げ出せなくなる。


< 83 / 298 >

この作品をシェア

pagetop