一途な社長の溺愛シンデレラ
私にかまうより、きれいな女の人と有意義な時間を過ごすことだってできるはずだ。
それなのに、どうしてそんなに、親切にしてくれるの?
「……なんでもない」
口に出せないまま目を逸らすと、社長は怪訝そうにつぶやいた。
「なんだよさっきから。変な奴だな」
掃除の続きに取り掛かる背中を見ながら、私は、なぜ、と自分に問いかける。
答えを知りたいのに、はっきり口にされると恐い気がするのは、なぜなのだろう。
社長の背中を見ていると、手を伸ばしたくなるのは、なぜ――?
そのときピンポーンとインターフォンが鳴った。
一歩足を踏み出し、沓脱ぎに出しっぱなしのスニーカーを踏みつけ、ドアスコープを覗く。
ドアの向こうには、知らない若い女が立っていた。
両腕に大量の紙袋を下げて、スマホを片手にきょろきょろしている。
「……誰?」
ドアを開けずにそのまましばらく見ていると、外廊下に所在なさげに突っ立っていた彼女は意を決したように私の部屋のドアを叩いた。