一途な社長の溺愛シンデレラ

 年頃の女の部屋に堂々と上がり込んだ社長は、すでにおかんモードに突入し、鼻歌をうたいながらパソコンモニターの裏やドアの蝶番など、私が絶対に気が付かないような細かいところを拭いている。

 私は廊下に立ったまま、28歳男性の健康な広い背中を見つめた。

 スーツにエプロンという謎めいた格好も、今ではすっかり見飽きている。

 高校卒業と同時に親元を離れた私を心配して、社長は週に一回、生存確認も兼ねてこの部屋を訪れるようになった。

 でも毎日会社で顔を合わせているから、実質は家事をしに来ているようなものだ。

 もし、私が自分で掃除をするようになって、食事もきちんととるようになったら、社長はここには来なくなるのだろうか。

「ねえ社長……」

「ん?」

 背をかがめて棚を拭きながらこちらを見る彼は、眉が凛々しくはっきりした顔立ちで、外国の俳優のようだ。

 世間一般の感覚をいまいち理解していない私でも、社長が女性の目を引く外見とステータスをもっていることはわかる。

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