一途な社長の溺愛シンデレラ

「私はこのテーマで沙良ちゃんのデザイン、見てみたいです!」

 絵里奈が私の背後にまわって両肩をぽんと叩いた。

 御池さんが取ってきた今回の仕事は、ざっくりいえば、地域おこしプロジェクトだ。

 とある地域の商工会が、その地域出身の小説家の作品が爆発的にヒットしたことに便乗して地域活性を図ろうとしているらしい。

 その具体案として、小説の舞台になった店や観光スポットを記したマップを作り、若者を呼び込むことを目的としているのだとか。

 そこで私に任される仕事が、プロジェクトの要になるマップ作りというわけだ。

『新高町、恋するブックストリートMAP』

 社長がホワイトボードに書いた文字を、口の中で繰り返す。

 新高町出身の小説家、『志鷹(したか)なずな』の作品は恋愛小説が主で、ここ数年若者のあいだで人気に火がつき、映画化もされているらしい。

「……で、恋ってつまり、どういうこと?」

「おいコラ、おまえは俺たちの話をちゃんと聞いてたのか!?」

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