今宵、エリート将校とかりそめの契りを
自室に引き上げた後も、簡単な仕事の用はこなせるよう、そこには机も置かれている。
壁にかかった時計を見ると、朝六時を回ったところだ。
女中を呼ぶ為に、総士は机の上から呼び鈴を手に取った。
振って鳴らそうとして、無意識に寝室を見遣る。
わずかな逡巡の後、思い止まって呼び鈴を戻し、総士は身支度を整えた。
軍服を纏った総士は、自室を出た。
一階の執務室に行く為、階段に向かって廊下を歩くと、朝から忙しく働く女中の姿が目に入る。
彼が声をかける前に、女中の方が総士に気付いて頭を下げた。
「おはようございます、総士様」
女中が丁寧な挨拶をする。
顔を上げた女中に「おはよう」と挨拶を返し、総士は出てきたばかりの自室を振り返った。
「すまないが、妻は起こさないでやってくれ。朝食は、無理に食べさせなくていい。それから、なにか着替えを」
総士の言葉に、女中は一瞬きょとんとして、パチパチと瞬きをした。
しかし、彼の言葉から即座に昨夜の初夜を連想したのだろう。
次の瞬間、わかりやすく頬をカッと赤く染め、慌てたように声をひっくり返らせて返事をした。
「は、はいっ! お任せくださいませ」
「頼む」
総士は表情を変えずに短く言い置き、背中に不躾とも言える視線を感じながら、階段に向かった。
壁にかかった時計を見ると、朝六時を回ったところだ。
女中を呼ぶ為に、総士は机の上から呼び鈴を手に取った。
振って鳴らそうとして、無意識に寝室を見遣る。
わずかな逡巡の後、思い止まって呼び鈴を戻し、総士は身支度を整えた。
軍服を纏った総士は、自室を出た。
一階の執務室に行く為、階段に向かって廊下を歩くと、朝から忙しく働く女中の姿が目に入る。
彼が声をかける前に、女中の方が総士に気付いて頭を下げた。
「おはようございます、総士様」
女中が丁寧な挨拶をする。
顔を上げた女中に「おはよう」と挨拶を返し、総士は出てきたばかりの自室を振り返った。
「すまないが、妻は起こさないでやってくれ。朝食は、無理に食べさせなくていい。それから、なにか着替えを」
総士の言葉に、女中は一瞬きょとんとして、パチパチと瞬きをした。
しかし、彼の言葉から即座に昨夜の初夜を連想したのだろう。
次の瞬間、わかりやすく頬をカッと赤く染め、慌てたように声をひっくり返らせて返事をした。
「は、はいっ! お任せくださいませ」
「頼む」
総士は表情を変えずに短く言い置き、背中に不躾とも言える視線を感じながら、階段に向かった。