好きだよ。
「宮本!」

どうして、どうして

山田君が来るのかなぁ。

「なんで…きたの。」

嬉しい反面嬉しくない。

素直になれない私は嬉しくない方を

言葉にするんだ。

「俺…。勘違いしてた。いっぱい傷つける言葉言って…。」

「そうだよ!私になにがあったか知らないのになんで勝手に決めつけるかなぁ?男なら誰でもいい?そんなわけないでしょ!山田君こそ、女の子なら誰でもいいくせに!!」

感情が高まって早口になってしまった。

私がこんな事言うと思っていなかったのか

山田君は驚いていた。

「うん、知らなかった。それなのに俺、知ったかのように…」

「うんうん、そうだねって言うと思った?

山田君さぁ私に他になんて言った?」

「え…?」

「告られて喜んでるって言ったよね。そんなわけないじゃない!私がどんな気持ちで告白して受けてたか分かる?
その勇気が欲しい
その勇気が羨ましい
その勇気が憧れる

いつもいつも思ってた。

どれだけ山田君の事で悩んでたかも…知らないくせに!」

全部全部言ってやる。


「俺の…事?」

「そうだよ…私の好きな人は




山田君だからね。」



あぁ、やっと言えた。

今笑顔かな。

笑えてるかな。

「でもね。忘れて?」

「は?」

あなたは私といたら幸せになれない。

女の子からモテるあなたは

もっと可愛い人を見つけられる。

もっと性格のいい子を見つけられる。

もっと重くない女の子を見つけられるから。

これじゃ付き合う前提になっちゃうような

言い方だけど

私はあなたが、幸せならいいから。

ずっと昔から君だけを見ていた。

願うならば、君が同じ気持ちであってほしい。

けど気持ちを聞いてくれただけで十分だよ。


私はそう伝えた。



「お前だって…勝手に決めつけてるじゃねーかよ。」

え?

「なんで…泣いてんだよ。」

私…泣いてる?

「せっかく…想いが通じあったのに…」

え…

「咲…好きだ。付き合ってくれ。」

う…そ…。

「え、あの、えっと」

ちょっとまって。おかしい。

「同情とか、いらないからね」

今の私なら同情されてもおかしくない。

しっかりと想いがつうじてないと…。

「同情なんかじゃない。好きだよ。」

優しく笑った彼。

あぁ、いいのかな…。

幸せに…なれるのかな。

「ヒッ…ック…んっ…」

溜めていたものが目から溢れ出す。

「はは、泣くなって」

と彼は私の涙を拭う。


「これからもよろしく。」

彼はそう、呟いてくれた。
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