復讐をするまで忘れずに…

回想

今から18年前のある日。



私、安藤章子は、今日も『天空』で働いている。



今日は、私が泊まる日だ。



『天空』には子供がたくさんいる。それと同時に従業員もまあまあいるから、私たちは交代で泊まる。



最近は、2日に一回だ。




でも、園長や一部の人は、毎日泊まっている。




大した給料は出ない。ほぼボランティア状態だ。



だから、毎日泊まれるのはすごい。





わたしには、家に帰ったら娘がいる。



海央(みお)だ。



海央がいるから、私は2日に一回で済んでいる。



でも、十分迷惑をかけている。




私は海央が2歳の時に離婚をしてしまった。



だから、家に帰っても1人だ。



兄弟もいない。



今までは私の両親、海央にとっての祖父母に面倒を見てもらっていた。



でも、両親ももう面倒を見るのが大変になってきた。



私の妹も結婚して、子供がいる。



両親には孫がたくさんできた。



海央だけ、特別にするわけにはいかないという。



私は今、海央のお父さん代りの人を探している。



「先生、先生、これ、見て。あたしが作ったの。」



女の子が話しかけてきた。



ここにいる従業員は全員、『先生』と呼ばれている。



今話しかけてくれたのは吉田桃音ちゃんだ。



桃音ちゃんは姉妹でここに入っている。



姉の桜良ちゃんは、暗くて、友達と話しているのをあんまり見ないが、桃音ちゃんは明るくて、わたしにもたくさん、お話を聞かせてくれる。
< 40 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop